以前自宅サーバー用に使用している自作PCの構成を記事に書きましたが、最近稼働させているマイクラサーバーを増やしたこともあって、このスペックだとCPUの性能が足りなくなってきたのでマシンを新調することにしました。前回のマシンは特にこだわりのない無難なパーツ構成でしたが、せっかく新しくするので今回は静音かつ小型をテーマに組んでいきたいと思います。

パーツ選定

PCケース選び

ソフトウェアRAIDを組んでいるのでディスクが多く搭載可能な小型のPCケースがいいなと思って調べていると、NAS用のPCケースが良さそうな気配。その中で見つけたJonsbo N2というPCケースは、一辺20cm程度のキューブ型の小型な筐体でありながら3.5インチHDDを5台も搭載可能と私の用途にぴったりでした。送料込みで3万円弱とPCケースとしては高価だったものの、販売サイトの在庫が残りわずかだったのもあってすぐに購入することにしました。購入した数日後、販売サイトを見てみると売り切れになっていたので危なかった…

アルミフレームの筐体で質感はかなり良いです。マザーボードはMini-ITX規格のものに、電源ユニットは奥行150mmまでのSFX規格またはSFX-L規格のものに対応しています。

CPU選び

マイクラサーバーに使用するのでCPUは性能が高いに越したことはないですが、常時稼働させるので省電力なほうが静音性や電気代的に嬉しいのと、小型のケースを使用する関係上、排熱性があまり良くないので、TDPが65Wのものを上限に考えたいところです。またマイクラサーバーはシングルスレッドで動作するため、シングルスレッド性能が高いコアが多いものが望ましいです。

また、基本的に映像出力をしないサーバー用途ではありますが、マシン起動時には映像出力ができる必要があるので内蔵グラフィック付きのモデルを選びます。以前のマシンでは内蔵グラフィックなしのIntel Core i3-10100Fを使っていたので、わざわざ別にグラフィックボード (NVIDIA GeForce GT 710) を搭載していました。

さて、現在の最新のIntel CPUの世代は第14世代ですが、サーバーなので安定性を考えて第12、13世代から前述の条件で絞り込むと、一番性能が高いのはCore i9-13900です。ただ、今回使用するPCケースに搭載できるCPUクーラーがロープロファイルのものに限られるため、Core i9の性能を生かしきれるかは怪しいです。NoctuaのロープロファイルCPUクーラーを使用してCore i9-12900Kの冷却性能を検証している記事を見ても、CPU消費電力が100Wに達する程度のパフォーマンスが限界のようです。Core i9-13900のTDPは65Wですが、最大パフォーマンスを発揮するには202Wもの電力を消費する必要があるので、前述の制限を考えると同じ数のPコアを搭載しているCore i7-12700やCore i7-13700でも良さそうな印象。この2つだとPassMarkのスコアからわかるように、当然新しい世代のCore i7-13700のほうが総合性能は高いのですが、シングルスレッド性能はそこまで大差ないようです。

重視したいのはシングルスレッド性能なので、価格差も考えてここはCore i7-12700を選ぶことにしました。

ちなみにAMDのCPUも検討しましたが、Ryzen 7 8700GなどはCore i7-12700と同程度のシングルスレッド性能を持ち、かつ同じ数のコアを持つものの、価格.comの最安値で比較すると割高だったので候補から外れました。最近ではRyzenよりIntel Coreのほうがコスパが良い気がしますね。

マザーボード選び

マザーボードは、LGA1700に対応していてMini-ITX規格、DDR4 32GBメモリが2枚とM.2 SSDが1枚搭載可能で、SATAポートが4つほどさえあれば十分なので、この条件で価格.comで一番安価だったASUSのPRIME H610I-PLUS D4-CSMを選びました。

メモリとストレージの移植

メモリとストレージは以前のマシンで使っていたCrucialのDDR4-3200 32GBメモリを2枚と同じくCrucialのM.2 SSD 512GBを1枚、シリコンパワーのSATA SSD 1TBを2枚を移植しました。パーツを流用できるのが自作PCの良いところ。

電源ユニット選び

電源ユニットはSFX規格またはSFX-L規格で静音のものが望ましく、できれば低負荷時にはファンの回転が停止するセミファンレスのものが良いです。また、電源ユニットは電源負荷率が50%程度の場合に最も変換効率が高く、消費電力が無駄になりにくいので、使うパーツから考えて400W~500Wくらいの容量のものがちょうど良さそうです。80PLUS認証はGold以上あれば十分でしょう。

例によって価格.comで検索してみると、SilverStoneのSST-SX500-LG-Revがこれらの条件を満たしていそう。ただこの製品、よく調べてみるとマイナーチェンジ版がいくつかあるようで、Amazonのレビューを見るとセミファンレスではないモデルもあるみたいです。しかしメーカー公式サイトやマニュアルではこの点について言及しておらず、詳しい仕様がわからないので別の製品を検討することにしました。

容量が650Wとやや大きいですが、Fractal DesignのIon SFX 650Gは複数のサイトで高評価なレビューが多く、セミファンレスで80PLUS Goldとスペックも十分だったので、電源ユニットはこちらを購入することにしました。

CPUクーラー選び

CPU選びの話で既出ですが、静音なCPUファンと言えばNoctuaということでPCケースに入る高さのNH-L9i-17xxをチョイス。デザイン的には黒色バージョンのNH-L9i-17xx chromax.blackのほうがPCケースに合いそうですが、Noctua感が薄く面白くないのでオリジナルのほうにしてみました。

人によって好みが分かれやすいところではありますが、Noctuaといえばやはりこの色ですよね。

2.5インチ→3.5インチ HDD/SSD変換マウンター

PCケース正面の3.5インチベイに2.5インチのSSDを挿入したいので、3.5インチ→2.5インチの変換マウンターが必要です。注意点として3.5インチ用スロットに挿入する関係上、端子位置も3.5インチのHDDのものと同じである必要があるので、端子も変換してくれるこちらの製品を購入しました。

最終構成

最終的に下のような構成になりました。

パーツ分類製品名購入サイト購入価格
PCケースJonsbo N2オリオスペック27,800円
CPUIntel Core i7-12700PC4U46,801円
マザーボードASUS PRIME H610I-PLUS D4-CSMAmazon16,109円
メモリCrucial 32GB DDR4-3200 UDIMM(流用)0円
Crucial 32GB DDR4-3200 UDIMM(流用)0円
ストレージCrucial 500GB M.2 SSD(流用)0円
シリコンパワー A55 SATA SSD 1TB(流用)0円
シリコンパワー A55 SATA SSD 1TB(流用)0円
電源ユニットFractal Design Ion SFX 650GAmazon15,691円
CPUクーラーNoctua NH-L9i-17xxドスパラ6,480円
その他2.5インチ→3.5インチ HDD/SSD変換マウンターAmazon1,350円
2.5インチ→3.5インチ HDD/SSD変換マウンターAmazon1,350円
合計115,581円

実はここまでパーツを選定するのに気づいたら2週間もかかっていました。まぁ自作PCはパーツ選びの時間も楽しいのでヨシ!

組み立てと動作

小さいサイズのMini-ITXですが、マザーボードが浅い場所に位置していることもあって作業はしやすいです。

パーツを組み終えて、そこまで変わった構成でもないので普通に動くだろうと思って電源を入れたのですが、何故かLANポートが動作しないという症状が。正確には、PC起動直後やBIOS起動中はLANポートのランプが点灯・点滅しているのですが、OSの起動が始まるとランプが消えてしまいました。LANケーブルを挿しなおしたり、CMOSクリアをして起動し直してみたりしましたが変わらず。マザーボードのLANポート周辺の不具合かなぁと予想して、追加でPCIeスロットに接続できるLANカードを購入し、後日改めて試してみましたが、今度はLANカードのLANポートでも同じ症状が発生してしまいました。ここでダメもとでマザーボード備え付けのLANポートにLANケーブルを挿し直してみると、なんと今度はランプが光り始め、インターネットに接続することができました。原因不明です。本当はマザーボードを交換したほうが良いかもしれませんが、とりあえずこれで様子を見てみることにします。

ちなみに組みあがったマシンは、期待していたほど動作音は静かではないですが、CPU性能を大幅に上げることができたのでヨシ!とします。サイズについては小型化して占有スペースが小さくなったので満足です。